
ウッチー:先生が提唱するスマートフォンと連携する補聴器って面白そうですね。補聴器ユーザーの一人として、とても興味があります。
坂井:単純に聞こえに関して困っている人が周辺に増えてきていて、そういう人たちにはカッコイイものを提供したいと思っている。それに加えて「翻訳機能」もつけたいと考えているんだ。だって、音や声が明瞭に聞こえていたとしても、言語自体を理解できなければ聞こえていないのと同じ。つまり「聞こえ」のバリアの他にも「言語」のバリアみたいにいろいろなバリアがあるわけで、そのバリアをできるだけ僕は排除したい。スマートフォンと連携するということを前提にすれば、「補聴器」であり、そして他言語の「翻訳」もできる、「携帯電話」でもあるという、3つの機能を持たせたリスニングサポート機器になるんじゃないかと考えているんだ。iPhoneやAndroidなどのスマートフォンには、優れた技術があんな小さなものの中に詰

まっているし、持っている人なら必ずみんな持ち歩いている。
その中には、昔ハードウェアだった録音機やカメラ、ラジオ、GPS、カーナビなどが溶け込んでいるから、きっと補聴器もこの中に入っていくはず。もちろん補聴器だけでなく、世の中の小さなデバイスはその中にどんどん入り込んでいくことだろうしね。それに地球の人口が10月には70億人を突破するといわれていて、日本人はその中ではもの凄いマイノリティなわけだよね。グローバルに考えると言語のバリアを持ったハンディキャッパーになるわけ(笑)。そういう世界がもう目の前にまできていて、その言語のハンディを誰もができれば消し去りたいと思っている。こうやって考えていくと、ハンディキャップのタイプというのは身体的なものだけでなくたくさんあるのかなって。
坂井直樹
87年、日産「Be-1」、89年日産「PAO」を世に送り出
し、フューチャーレトロブームを創出。その後も携帯電
話、ベビーカー、ガスレンジなど大手メーカーと組み多
くのプロダクトを手掛ける。08年4月には慶應義塾大学
大学院政策・メディア研究科教授となる
uCCI
自らをクリエイターでありアーティストであ
る事から「クリエイティスト」と名乗り、 パ
フォーマンスに限らずマネジメント、アートデ
ィレクション、スタイリング、 イベントプロデ
ュース、コンテンツ制作を行なう。
難聴というハンデをものともせず、世界をまた
にかけて活躍する様々なジャンルのパフォーマ
ー集団「TOKYOcreatist」の代表を軸に、新し
い価値観とコミュニケーション手法を提供中。
ウッチー:単純な補聴器ではなくて、翻訳機能も備えているというのはとても素晴らしいですね。僕は英語も中国語も小さな発音が多い言語なのでやっぱり聞きづらいんですよね。それを補聴器がその場で翻訳してくれて、それが言葉として耳に入ってくるとなると会話もスムーズになると思いますし、普通の人も使えるのなら、見た目からだけでは難聴者かどうかは分からないですよね。、ただヘッドホンをつけたままの状態で人と会話するということを良しとする人は少ないと思います。常識的に考えると失礼になってしまうような気もしますね。
坂井:その場合は、補聴器であるということを伝えるだけで

良いと思う。確かに、耳も悪くないのにヘッドホンをつけたままでコミュニケーションするのはおかしい。でも、そういったものの大半というのは世の中の常識というものであって、常識ってどんどん変わっていくもの。例えば、ちょっと前まで、帽子をかぶったまま食事をとることはいけなかったでしょう。今でも、そういうレストランはまだあるよね。どっちがおかしいかというと、ダメだって言うレストランの方がおかしい。それならカツラはどうなるのって話で、カツラを脱ぎなさいっていうのかな。ちょっと極端な話だね(笑)。今、この対談の最中にいる人たちの中で誰もネクタイをしていない。これって10年前の常識で考えると非常識なこと。やっぱり常識というものはどんどん変わっていくものなんだ。
全文は是非、本誌でお楽しみください。