板橋 Itabashi

力強い一歩を

06板橋-2活気あふれる商店街は都内に多く点在するが、板橋の商店街といえば、旧中山道を中心とする不動通り、仲宿商店街が見逃せない。ここは宿場町の面影を残す史跡、そして自然景観、さらには地名の由来ともなった「板橋」があるからだ。買い物ではなく、やはり観光が似合うといえば、あまりにもご都合主義か。

石神井川に架かる板橋は、その名の通り、板で作られた橋。もっとも平成の世、しかも23区内に板で作られた橋に出会うことはないだろう。この板橋もアスファルトで固められた近代的な作り。木目調に仕上げた欄干が、雰囲気をつくっている。
この先に、もう一つ見所がある。それが縁切榎。いつ頃からかこの榎の下を嫁入り・婿入りの行列が通ると不縁になるという一種の都市伝説が生まれた。その起こりは、榎と槻の木が並んでいたことから、縁が尽きる(エンツキ)。しかも地名が岩ノ坂で、イヤナサカと言っていたらしい。どうもネガティブな言葉遊びでもある。
今もこの信仰は続いているという。縁切りというとどうしても男女の仲に結びつけてしまう。女性がたくさん寄ってくるなんてことは一度もなく、今後もないと断言できるが、色男色女にとってはパワースポットになる。逆に捉えれば、今の人生にさらばしたいと願う人たちも救ってくれるかも。「アンタのことだよ」という声が聞こえてきそうだ。

旅の最後に決めたのは、「植村冒険館」。世界的な冒険家、植村直己さんの足跡に出会える場所。植村さんは1984年2月、マッキンリーで遭難するまでの15年間、ここ板橋で暮らしていた。
その偉業はきっと記憶されている方も多いと思うが、改めて足跡06板橋-3を追ってみたい。日本人として初めて世界最高峰エベレストを登頂し、世界初の五大陸最高峰登頂に成功する。その後、北極圏、南極大陸を犬ぞりで走破している。展示室には自身がセルフタイマーで撮影した写真のパネル展示や、冒険で使用した装備などが展示されている。また北極圏を犬ぞりで走破した記録ビデオは、過酷な環境でありながら、笑顔を絶やさない植村さんの表情が印象深く残り、約90分間食い入るように見入ってしまった。特に犬に対しての深い愛情を感じさせてくれた。自らの衣服を破り、その生地を利用して犬用の靴をつくる。寡黙で従順な犬と人間の関わり合いに、涙が頬を伝う。この涙腺の弱さに、年を感じる。いや、まだ泣くことができることを素直に喜びたい。
植村さんは、とにかく単独にこだわった。どんな状況でも、人間らしい豊かな心をもって目標に向かって突き進む。その植村スピリッツが、今こそ必要な時だ。奇しくも板橋は中仙道第一の宿場町。復旧に向けて力強い第一歩を踏みしめて欲しいと強く願うばかりだ

この町のおすすめショップ

アイウェアの楽しき世界の扉を開く
【めがね専門店  あん.しゃらら】

06あん-2メガネは掛ける人の個性を彩る大切なアイテム。そこには伝える側の感性が欠かすことはできない。特にファッション業界の先頭に立つ人たちの多くは女性であり、メガネもまた感性鋭い女性たちの活躍があってこそ、ファッションアイテムとしての意識が高められてきた。
そんな女性ならではの視点で、メガネの楽しさ、装うことで生活に潤い与えてくれるアイウェア情報を発信しているニューフェイスが、板橋宿不動通り商店街にある、めがね専門店あん.しゃらら。依田夏子さんが昨年7月にオープンさせたショップだ。先月号をご覧になった読者なら気付いた方もいると思うが、レンズメーカーが実施したディスプレイコンテストで3位に選ばれたショップでもある。
オーナーの依田さんは、業界でも一目置かれる存在。大手眼鏡チェーン店で、オプティカルファッションアドバイザーとして活躍してきた方。社内資格ではあるがその第一期生であったことから、自らカリキュラムを組むなど苦労を重ね資格を取得するなど、メガネのファッション化をいち早く掴み、各地の店舗で実施してきたファッション相談会でその装いを提案してきた1人。またディスプレイやVMDなど幅広く手がけ、多角的なアプローチで、アイウェアの世界観を広げきた。

そのキャリアを自らのショップ、あん.しゃららで発信していくことになったのは、この地で営業していた眼鏡店オーナーが他界し、主を失ってしまったことがきっかけとなった。依田さんとの面識はなかったものの、業界関係者の紹介により事情を知ることになる。また縁もゆかりもない土地柄でもあったが、顧客が店に寄せる思いを肌で感じたからで、顧客との絆があってこそ、その人にベストなメガネが提供できるという考え方をもっていたので、ショップオープンは使命感にも似た決意だったのかもしれない。

メガネ店を意識させないショップ名であるが、その響きはオーナーの感性と協調し合いながら、不思議な魅力を感じさせている。間もなくオープン1年を迎えるが、そのオープン時に配ったチラシを半年過ぎても大切に06あん-1保管し、ショップに足を運ぶユーザーが少なくないとか。
価格が躍る内容は一切なし。メガネそのものより、メガネに対する思いを綴った構成で、依田さんのメガネ観に共鳴しているからだろう。「それぞれのシーンで掛け替えができる、おしゃれなメガネをトータルに提案させていただきます」と控えめに話すが、実は依田さんのキャリアのスタートは眼科。OMA、もちろん認定眼鏡士SS級の有資格者でもある。視力とファッション、お眼鏡に叶ったアイウェアの扉がここに開かれる。

SHOP DATA

06あん-306あん-4めがね専門店 あん.しゃらら
住所:板橋区板橋3-2-6
TEL/FAX:03-5944-1848
営業時間:10:00〜19:00
定休日:水曜日

取扱ブランド
ラフォン、シルエット、フレアー、トキ、ネオジン、ウッドルック、Caviarなど
店長おすすめの一品
上からインフィニティ SPD620、WOODLOOK WL077、NEOJIN NJ2213

オーナーの依田夏子さん