private eyes magazine

 

 


 



■子供の頃は目がよかった  キューピー風の髪型と黒縁の眼鏡というキュートな(?)風貌とそこから醸し出される独特なコメントでテレビ等で活躍している山田五郎さん。実はふだんは大手出版社の敏腕編集者として働くという2つの顔をもつ。眼鏡があまりにマッチしていて、子供のころからずっと眼鏡をかけていたような印象があるが、意外にも小学生の頃は目がよかった。  

 元来、目はとてもいいんですよ。小学生のころは視力が2・0くらいありましたね。ただ、プラモデルに凝りだしまして、だんだんと悪くなっていきました。LSという日本メーカーの戦闘機が好きだったんですよ。
 さらに中学生のころから解剖にも凝って。解剖用の顕微鏡を使って蛙の卵をいじくったり、昆虫を解剖して、目を酷使し続けたら、さすがによい目も悪くなって、ついに中学2年のころに眼鏡をかけるようになりました。いわゆるセルフレームの眼鏡でしたね。
 大学に入ってからはコンタクトレンズをするようになりました。長髪にコンタクト。今とはまったく違った風貌でしたよ。 もちろん眼鏡も持ってましたが、お金がなかったからどうでもいいような眼鏡をしてました。とにかく少しでも安い眼鏡をと。僕の場合、度が強いからレンズ代が高くなってしまうんですよ。それでも大学4年のときに本格的な眼鏡を「白山眼鏡店」で作りましたね。当時『ポパイ』とかで話題になってたんです。上野の本店で、ボストン型のを作った。  テクノミュージックがものすごく流行していたときで、男の子の間でテクノカットと眼鏡というファッションが流行りだしていたんですよ。「クラフトワーク」とかの影響が大きかったんじゃないかな。男の子の間で眼鏡でオシャレをするということも始まって、あの頃から眼鏡のフレームの種類も増えて、オシャレになっていったのを覚えてます。

■コンタクトから眼鏡へ  山田さんの眼鏡生活が本格化するのは大学を卒業してからだ。出版社に就職したところハードワークで、コンタクトレンズができなくなったからである。このころから山田さんは眼鏡にこだわりをもつようになる。

 出版社に入社したら毎日夜遅くまで仕事があるわけですよ。1週間くらい家に帰れないなんてことは当たり前。ロケバスで寝たりね。『ホットドック・プレス』でファッション担当をしていた頃は、撮影で3日徹夜なんてことも。ハードコンタクトなんてとても使っていられない環境でした。それからですね、眼鏡にこだわるようになったのは。  あと、素材にこだわった時期があって、その中でも大きかったのが86年の頃の「べっこうブーム」。ブームといっても個人的なブームですが。日本橋の丸善でべっこうの眼鏡のデッドストックを見つけたんですが、2万円と当時としても異常に安かったんですよ。これがいい感じの眼鏡でね。昔、大村昆がかけていた眼鏡みたいで。長手っていうんですか、耳のところが曲がっていなくて、はさんで止めるようになっている。いかんせん、幅がちょっと小さかったから、かけてると顔に跡がついてしまう。まさに明治大正の文士という感じの、本当にレトロな眼鏡です。この眼鏡、どうも昭和30年代からずっとデッドストックだったようで(笑)。つまり大学卒の初任給が1万5000円くらいのときに2万円した高級な眼鏡が、そのまま同じ値段で売られていたようなんですよ。

■香港では眼鏡をかけた男性がもてる 山田さんの「べっこうブーム」はその後も続き、香港の眼鏡店でもべっこうの眼鏡を作るまでに。日本で買ったら30万円はする眼鏡が9万円程度で買えたという。

 香港は眼鏡文化があるんです。というのも香港は眼鏡をかけている男の子がもてる数少ない地域なんですね。似た傾向は台湾とか韓国にもありますが、インテリが尊敬されるからでしょうかね。だから伊達眼鏡をしているやつも結構いて、眼鏡屋さんが街の中にやたらと多いし、そして安いんですよ。  僕も香港の街の中にあったでっかい眼鏡屋さんで作ったんですが、これがべっこうは本べっこうなんだけど、どういうわけか「ローデンストック メイドインジャーマニー」と入っている。ローデンストックの本べっこう眼鏡って、ちょっと怪しいでしょ?この眼鏡はかなり愛用しましたね。ただ、ある日、石の柱の角に激突して、大破してしまったんですよ。べっこうの部分がぱきんと割れて。べっこうは熱と水でくっつくので、直しに行きたいんだけど、なかなか暇がなくて、そのまま保管してあります。

■テレビ出演用に眼鏡は選ばない  山田さんはひょんなきっかけで「タモリ倶楽部」に謎の「お尻評論家」としてテレビデビュー。以後、編集者のかたわら、テレビなどの仕事でも活躍するようになる。

 テレビ用に特に眼鏡を選ぶということはありませんね。最初のころは新しく作った眼鏡は汚れるのがいやだから、テレビの時だけかけるようにしてましたが、面 倒くさくなって、ふだんもかけるようになりました。あくまで眼鏡は自分が好きなものを選んでいます。クラシックなタイプが好きかな。 ただ問題は眼鏡の場合、オシャレと機能性は相反するんですよ。オシャレな眼鏡はフレームが小さいものになってくるんですが、こういう眼鏡は視野が狭くなるんで、自動車の運転のときとかは、やや不安なんですね。 実はいまかけているこの眼鏡はフォーナインズの三瓶さんに自動車を運転できる視野を持ち、かつ大きすぎないフレームということで作ってもらったんです。最近はこれか、もうひとつやはりフォーナインズで作った丸いフレームの眼鏡をよくかけてます。服に合わせて使いわけてますね。

■プラスチックレンズの軽さにショック  レンズに関してはずっとガラスを愛用してきた。プラスチックレンズは傷つきやすいというイメージがあったからだ。ところが最近そのプラスチックレンズの眼鏡をついに作ってしまった。

 ガラスが好きなこともあって、プラスチックレンズは敬遠していたんですよ。だけどあまり人が勧めるので、1個だけと思って、フレームもチタン製にして作ってみたんです。そうしたら軽くて軽くて、ものすごく快適なわけです。ちょっと複雑な気分になってね。  僕は度が強いからガラスのレンズはものすごく重いものになっていたんですよ。風呂で本を読んでいて落として割ったこともあるし。  ところが今のプラスチックレンズは軽いし、くやしいことに見え方もあまり変わらないですね。これに慣れてしまうと他の眼鏡がかけられなくなっちゃうと思って、極力しないようにしています。とりあえずプラスチックレンズの眼鏡は跳んだりはねたりする必要があるとき専用ということにしてますよ。
  コーティングはやっぱりガラスのほうがずっといいんですか? それを聞くとちょっと嬉しいですね。とにかくずっとガラスの重いレンズをがんばってしてきたのに、ものすごく軽くて見え方もほとんど同じなんだから。かなりショックでしたよ。  プラスチックの眼鏡とは別に自ら禁じていたのがエルゴノミクスの眼鏡です。ヤクルトの古田選手がしているアイメトクリスというやつとか、顔の形に合わせて作れて、ものすごいフィット性があるんですよ。そしてずれない。イワキでちょっと試してみたら、本当に軽くてかけている気がしない。こりゃ、いかんと思って。人間は、楽に流れやすいからね。なるべくジャージを着ないようにしようというのと同じで、自らに禁じているわけです。だって、一度これを使い出したら、もう他の眼鏡がかけられなくなりそうだから。

■老眼鏡の前にもうひとつ眼鏡を作りたい  眼鏡にはこだわりのある山田さんだが、ここ数年は忙しくてなかなか眼鏡屋さんにゆっくり立ち寄ることがないという。

 3、4年前にフォーナインズで作ったこの眼鏡が最後かな。ずっと度が変わらないので、これ以上新しい眼鏡を作る必要がないという感じなんですね。いまかけている眼鏡は三瓶さんに「昔のいい素材があったから作りましょう」と言われて作ってもらったんだけど、昔過ぎちゃってか、最近、白くなるんだよね。生地が枯れるっていうのかな。磨きにいかなくてはいけないんだけど、なかなか時間がなくて。 でも、実はね、スタジオの控え室の鍵についているプラスチックの札があるでしょ、これでこすると、よく磨けるんですよ。だから、いつもスタジオにくると、磨いています。プラスチック部分の縁が角になっているものがよく落ちますね。大阪の朝日放送の鍵が一番いいかな。だから待ち時間に丹精込めてスタジオのキーで磨いているんですよ。  最近、老眼鏡を作る友人がちらほら出てきた。ここ数年新しい眼鏡は作ってませんが、今度作るときは老眼鏡になるかもしれない。
  ここから先はもう老眼がいつ来るかですね。近視が強い人は遅いと言われてますが、同い年でもう老眼来ている奴もいますから、人ごとじゃないですよ。  僕の場合、近視があるから遠近両用の眼鏡にしなくちゃいかんわけですね。遠近両用って上が近眼で下が老眼というふうにぱきっと分かれていましたよね。あれだと境目が見えるのがいやだということで、最近は境目がなくて段階的に度が変わっていく眼鏡があるんですよ。友達がこのタイプを作ったんですけど、かけ慣れるまですごく違和感があるらしいです。僕もちょっとかけさせてもらったんだけど、「これはいかんわ」という感じです。最初に眼鏡をかけたときに頭がものすごく痛くなったり、階段を上るときに怖かったりしましたよね、あれと同じくらいインパクトがあります。 境目がないとかえって不気味なんですよ。ぐにゃーっとする感じで、うまいこと目の焦点が慣れるまではいやな感じがしそうです。といってはっきり境目があるヤツも辛そうだし。なんか画期的な遠近両用眼鏡ができませんかねえ。  まあ、老眼鏡を作る前に、いまかけている眼鏡を磨いてもらいにいかないとね。いつまでもスタジオの鍵で磨いていちゃかわいそうだしね。あと、ぽっきり折れてしまった香港製のべっこうの眼鏡も直さないといけないし。せっかくだから、老眼鏡の前にもう一ついまのより2ミリくらいフレームが大きい眼鏡を作っておこうかな。やはり近々眼鏡屋さんにはいきたいですね。

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